UMLとは

UML(universal modeling language)は、オブジェクト指向プログラミングのシステム設計やシステム分析で用いられる。システムの分析結果や設計結果などを図で表す表記法である。

オブジェクト指向は現在主流となりつつあるシステム開発技法である。従来は、システムの機能に注目してシステム開発を行ってきた。それに対して、オブジェクト指向では、「物」(オブジェクト)に注目してシステムを構築するシステム開発技法である。

オブジェクト指向では、オブジェクトというソフトウエアの部品を組み合わせてシステムを構築する。このためオブジェクト指向でシステムを構築すると、システム開発の効率が高くなるとうメリットがある。

家電製品においてテレビで使った部品をステレオやビデオデッキで使用するようなイメージである。

オブジェクト指向のプログラミング言語

オブジェクト指向のプログラミング言語の代表例としては、C言語を拡張したC++やサン・マイクロシステムズが開発したJavaがある。

C++(シープラスプラス)
C言語の機能を拡張したオブジェクト指向のプログラミング言語である。
Java(ジャバ)
サン・マイクロシステムズが開発したオブジェクト指向のプログラミング言語。パソコンだけではなく幅広い分野で利用が可能である。このため急速に普及しつつあるプログラミング言語である。

初級シスアドの試験ではJavaに関する問題が出題されている。

例題 初級シスアド 平成18年 春期 午前 問22

Javaで作成されたプログラムであって,Webサーバからダウンロードされ,プラウザ上で実行されるものはどれか。

  • ア JavaSscript
  • イ Javaアプリケーション
  • ウ Javaアプレット
  • エ Javaサーブレット

解答:ウ

  • ア JavaScript は、インターネットで使用されるスクリプト言語である。プログラムをHTMLファイルに直接記述してブラウザー側で実行する。Javaとは別の言語である。
  • イ Javaで作成されたソフトウエアで、ブラウザーとは関係なく単独で動作するアプリケーションプログラムのことである。
  • エ Webサーバー上で実行されるプログラムのことである。

Javaアプレットは、Javaで作成されたソフトウエアで、HTMLファイルに記述されてブラウザー側で実行するソフトウエアである。

Java関連でいろいろな用語があるが以下のことをポイントに区別すれば覚えやすい。

  • JavaScriptはJavaとは別のプログラム言語である
  • 単独で動作するのがJavaアプリケーション
  • サーバー側で動作するのがJavaサーブレット
  • ブラウザー側で動作するのがJavaアプレット

UMLで使われる図の種類

UMLでは以下の9種類の図が使用される。

初級シスアドでは、システム開発における要求分析や要求定義に深く関与する。このため、要求分析や要求定義に関連するユースケース図の読み方を理解しておく必要がある。

UMLで使用される図
図の名称図の役割
ユースケース図システムの機能を表す
シーケンス図オブジェクトの関係を時間の流れで表す
コラボレーション図オブジェクト間の相互作用を表す
クラス図クラス間の関係を表す
オブジェクト図オブジェクト間の関係を表す
ステートチャート図オブジェクトの状態とその変化を表す
アクティビティ図オブジェクトのアクティビティによる変化を表す
コンポーネント図システムのコンポーネントを表す
配置図システムの物理的な配置を表す

ユースケース図

初級シスアドユースケース図

ユースケース図は、システムの機能全体を表したものである。ユースケース図を使ってシステム全体を評価し、開発者とユーザーとの認識のずれをなくすことができる。

ユースケース図は、コンピューターの知識のない人でも理解できるシンプルな図である。ユースケース図で使われる記号は、アクターユースケースの二つである。アクターとユースケースの関係を線で結んで表す。

アクター

アクターはシステムの外部を示す。具体的にはアクターの主な対象となるのは以下の3つである。

  • システムの外部からシステムを起動したりする
  • システムの操作を行う
  • 対象のシステムとデータのやり取りを行う

まとめると、アクターは、人であったり、ほかの外部システムである。

ユースケース

ユースケースは、システムの機能を示したものである。だ円の中にユースケース名を書く。アクターとユースケースの境界を明確にするために、ユースケースを長方形で囲む。

初級シスアドユースケース図

注文管理システムのユーズケース図である。このユースケース図より以下のことが分かる。

  • 注文担当者(アクター)がシステムの操作を行う。
  • 注文処理、注文変更後処理と注文取消しょりから構成される(ユースケース)
  • 注文管理システムは在庫管理システムと情報のやり取りを行う。

例題 初級シスアド 平成18年 春期 午前 問31

次のユースケース図の説明はどれか。

初級シスアド ユースケース図
  • ア 在庫管理システムは人ではないので,アクターは注文担当者だけである。
  • イ システム化の対象には,注文管理システムと在庫管理システムが含まれる。
  • ウ 注文管理システムはシステム境界の中にあり,注文担当者と在庫管理システムはシステム境界の外にある。
  • エ ユースケースは四つあり,各ユースケース名は,注文管理システム,注文処理,注文変更処理,注文取消処理である。

正解:ウ

  • ア アクターは注文担当者と在庫管理システムの二つである。アクターは人だけではない。外部システムもアクターの対象である。
  • イ 在庫管理システムは外部システムであるためシステム化の対象には含まれない。
  • エ ユースケースは、注文処理、注文変更処理と注文取消処理の三つである。注文管理システムはシステム名で、ユースケースではない。

オブジェクト指向とUMLのまとめ

  • UMLはオブジェクト指向のシステム設計やシステム分析で用いられる。システムの分析結果や設計結果などを図で表す表記法である。
  • オブジェクト指向とは、「物」に着目してシステムを構築するシステム開発技法である
  • オブジェクト指向におけるシステム開発では、オブジェクトという部品を組み合わせることでシステムを構築する
  • オブジェクト指向のプログラミング言語とてJavaやC++がある
  • ユースケース図は、システムの機能を示したものであり、システムの全体図である
  • アクターシステムの外部を示している
  • ユースケースはシステムの機能を示したもの